ガツンとゆるい所感

機械工であり、二児の父であり、世界20カ国で遊んだり仕事した旅人がお送りする、仕事や生活での気づきや学び。毎朝7:30に更新していき、1000件を目標に記述を残します。

0083_お体ご自愛ください

お体ご自愛くださいと、休養中の目上の方や

風邪が流行る時期に送るかしこまった文章の

最後などにこの季節は多用される言葉だ。

 

もし英語で伝えるとしたら、

please take care of yourself.だろう。

気をつけてね程度の簡単なセリフになるが

日本語は字体に美しさを感じるものだ。

 

しかし実は、厳密にはお体ご自愛くださいは

間違っていると説く方もいる。馬から落馬

したとか、頭に頭痛がするとかいう部類に

入る、というのである。自愛の"自"には

体という意味があるので、自愛だけの意味で

自分を大切にするという意味になるのだ。

 

私は間違った言葉に気が付きやすく、

このようなよく耳にする慣用句が

元々は間違っていることを知ると、次から

自分だけは気をつけようという気になる。

 

相手を指摘したり間違えを教えたりするのは

その人の間違いが他の誰かの迷惑になる

見込みがある場合のみにしている。

 

今回、お体ご自愛くださいという文の

間違いは、大変勉強になった一方で、

場合によってはお体ご自愛くださいと

あえて使う場面もあるかもしれない。

 

使い分けの問題である。ご自愛くださいと

言うだけではなんとなくそっけない印象が

あり、それがこの間違ったお体セットを

下支えしているのだろうと推測する。

 

ほかに、断トツ一位というのも誤りらしい。

断然トップの略が断トツという言葉になった

のが正式な意味合いで、断トツのみで首位の

意味を含んでいる、という見方があるのだ。

 

これに全く異論はなく、ご自愛と同様に

知らなかったし考えたこともなかったな、と

自身の無知を知り言葉を楽しむ思い出になった

ということで私はそれ以上深入りはしない。

 

言語の持つ意味は変わりゆくものである。

断トツも、多くの人が"抜きん出て"くらいの

意味で使っているだろうし、断トツ一位という

言葉そのものには違和感はない。断然トップ

という本来の言葉が使いやすい形に変容し

断トツでという形容詞になっていくのだろう。

 

話は変わるが中国語の勉強をしていると、

やたらと四字熟語を多用する文化に気づく。

三文字でもかけるじゃないかと思う反面、

やはり四字の成語にあえてすることで

言葉の音の響きや見た目に安定感が生まれる、

らしい。私は中国語ネイティブではないので

感覚的なところは分からないが、

知識レベルではそういうことらしい。

 

日本語の断トツ一位も似たものではないか。

一位だけではぶっちぎり感に欠ける。

話し言葉を盛り上げるためには、群を抜いて

一位になっている様相を(多少話を盛っても)

伝えたい気持ちが誰しもあるものだ。

ましてや自分が応援するチームや、勝って

欲しい誰かを形容する場合なら余計に、だ。

 

楽しく会話をする。思いやって言葉を伝える

という意味で、お体ご自愛くださいも

断トツ一位も、言葉のあやは大目に見て

伝えたい気持ちを組みたいものである。