ガツンとゆるい所感

機械工であり、二児の父であり、世界20カ国で遊んだり仕事した旅人がお送りする、仕事や生活での気づきや学び。毎朝7:30に更新していき、1000件を目標に記述を残します。

0082_ガツンとゆるい休日出勤

仕事を期日前に遅れずやり遂げるために

休日出勤を行うことが月に数回ある。

忙しい分家庭には負担をかけるが、忙しく

儲かる企業で成長できるので感謝したい。

 

今日は休日出勤なので出社する人数が少なく

いつもより閑散とした工場の空気はさながら

朝のお寺のようである。

 

私は工場で機械組立の仕事をしているが、

基本的に7〜10日間の組立工程をまかされ、

後輩と自分でその仕事を完了させてほしい

というざっくりした指示以外は特に何の

細かい指示はない。加えてみんなで使用する

雑部品の発注業務や製品の入出荷立会い

(積み下ろしや検査)など、一任されている

仕事の領域も少なくない。最初は何もなかった

が、少しずつ増えて今に至る、ということだ。

 

仕事は、指示待ちであると退屈する。

それを後輩たちが感じることも理解した上で

指導もなるべく自由に委ねることにしている。

 

自由を与えて何かをさせると、自由の中で

工夫したり立ち止まって確認、熟考したり、

見ていると後輩たちがまさに今悩みながら

作業を進めてくれていることが分かってくる。

 

技術レベルや仕事・生活に対してのこだわりの

大きさや誠実さは各人が個性を持っている。

自分と同じ見方・考え方の者はいないだろう。

無論、私はクセとこだわりの巨人である。

 

そんな他人に、作業の意味や、作っている

製品がどんな人にどう感謝されるのか

分かりやすく伝えることで、中には目の色が

変わり、従来自分のためのプラモデル作りを

やってきた少年が、お客さんに喜んでもらえる

製品を作る機械工に変わる瞬間もある。

 

4月入社の新卒社員達とは長年やってきた

仲間のように、あまり言葉で言わなくても

自分で動いてくれたり、ミスがあっても

自分で気づいて修正したりしてくれるので

指導し始めた頃を思うと感慨深くなる。

 

ものづくりは奥が深い。図面があって

要求される機能があるので、それが答えだ。

答えに向かってストイックに働くのが楽しい。

保険屋や不動産屋の営業を代表に見られる

ような、無形の商材を扱い、宇宙人のような

他人を相手にする、答えのない世界ではない。

 

しかし答えがあるからといって簡単という

訳ではない。なぜかというと、技術的なセンス

は、身につくのに時間がかかるからである。

 

営業や事務の仕事もそうかもしれないが、

ものづくりの現場は違った難しさがある。

どんなに優秀な大学を出ても、ネジ一本の

緩みも許されない世界でいきなり活躍できるか

といえばそうではない。どんなに人脈や

ウィットがあっても不注意な性格なら

あっけなく怪我や感電をする。逆に無知でも

ズボラでも、ルールを理解し求められる品質を

ミスなく出せるのであれば、優秀とされる。

 

したがって人が育つのを見るのが面白い。

工具の握り方や工場内を歩く姿やゴミを

掃除している姿は、期間工のような不慣れな

様子から、自分の持ち場で生き生きと働く

プロの姿へと日が経つにつれて変わっていく。

 

休日出勤は問い合わせや来客などもなく

また働く人や稼働する加工機も少ないので

雨音や足音が響くほど工場は静寂に包まれる。

こうして感慨に耽るのにうってつけである。

 

休日出勤は仕事が進む。と多くのベテラン達が

業務日報でアウトプットするのを見るが、

大切なのは平日にも同じような平静を自ら

作り出す工夫である。私にとってそれは毎日の

昼食後の誰もいない工場での事務作業の時間

であり、また、たまにある休日出勤である。

 

同じ場所でも時間が違えば環境は変化する。

もちろんそれは良くも悪くも。である。

日頃から劣悪な環境だと自覚する人は是非

通常と真逆の時間を利用したり、人や物の

動きが止まるタイミングを狙って身を置く

作戦を立ててみると心地よい場所と時間の

発見につながるかもしれない。

 

誰にでもできるのはやはり夜更かしよりも

早起きである。ガツンとゆるい休日の早朝。

世の中の機能が全停止したかのような

冬の土日の夜明けの空気。日常に満足しない

なら、早起きをして感じてみて欲しい。