ガツンとゆるい所感

機械工であり、二児の父であり、世界20カ国で遊んだり仕事した旅人がお送りする、仕事や生活での気づきや学び。毎朝7:30に更新していき、1000件を目標に記述を残します。

0103_JICA派遣について考える

劣等感というのは誰しも持つものだ。

あの人に比べて自分は至っていない。

あの人は持っているのに自分にない。

 

そんなことは、誰にでもある。

 

私にとってずっとひっかかるのが、自分が

"青年海外協力隊での海外経験を持ってない"

ことである。協力隊で海外経験を積んだ方々に

尊敬の念を抱く一方で、劣等感を抱いてきた。

 

世の中のほとんどの方がJICAによって

協力隊として選ばれ、国費で海外に行った

ことのある経験は持っていないだろう。

持ちたいとも思わないのが一般的に思う。

 

ところが、どうやっても私の人生には

この"協力隊経験者"と出くわすことが多い。

その度に思い出す出来事があるのだ。

 

私の親友、アイさんは大学卒業後大手の

スポーツ品メーカーに就職し活躍していた。

ところが入社3年ほどで、突然仕事を辞めた。

そして海外青年協力隊員としてガボンという

アフリカの小さい国に2年間行くことに

決めたと言い出したのである。この時私は

1年少し働いた会社を辞め、ニートを経て

どうにも人生に強い目的意識を持たずに

通信会社で派遣の事務をしていたのである。

 

1月4日の朝に、あれは研修に行くためなのか

実際に海外へ渡るためなのかは忘れたが、

他の友人たちとアイさんを励まして京都駅で

送り出した、そんな思い出である。

 

私は思った。自分も青年海外協力隊として

海外に行くのがいいのかもしれない、と。

しかし同時に思ったのは、そんなことをして

何になるんだろう?という漠然とした疑問だ。

 

私は昔からあまのじゃくで、学業に長けず

コレと思ったことにだけ注力して満足したら

やらなくなって…という人生を20数年間経験し

最終的に何者になりたいのかを明確にできて

いなかったのである。

 

現在もあまのじゃくで、頭も良くはない。

しかしはっきりとした目標となりたい自分像が

あるので自分を律して努力するレールからは

脱線せずに、毎日楽しく研鑽を続けている。

 

それなのにどうしてもあの1月4日を回想し

救いようのないような甘えた考えの自分に、

不安を覚えるのである。

 

一流高校、一流大学を出て英語力は抜群。

大手企業でも活躍していたが、一転して

国際貢献の道へ、海外青年協力隊員として。

 

この覆しようのない道筋の美しさに負けて、

二流三流街道でもなお自分に甘く、社会にも

甘えていた自分のことが怖くなったのである。

 

そこから私は好転した。

今は協力隊で活躍する若い人や協力隊を

経験した人と会っても、互角かそれ以上に

海外で仕事をした話ができるようになった。

 

旅行した経験は苦労を伴うこともあるが、

自分の行動指針や経済基盤に直結するような

含蓄へとつながることはめずらしいだろう。

 

逆に、仕事で海外へ渡ることは、苦労や

対立、何かしらの自己犠牲を伴うことが

生じやすいが、その分社会性の高い経験になる。

 

観光や自分探し、イベント参加の海外旅行は

楽しいものだが、どこかの業界や誰かのために

自分の力を磨く経験にはなりにくい。

 

2年間、世界をバックパックで旅し続けた!

といっても肝心なのはその後何をするかだ。

 

JICA隊員は厳しい見方をすると、

2年間国税で途上国に滞在し、その国の

未来のため人を指導したり仕組みを構築したり

知的創造の理想形のようではあるが、

それを一生続けていく人間になるかどうかは

2年間を経てからしか分からない。

 

私が好きな上方お笑いで例えるならば、

人の目にさらされる機会を増やしつつ、

ファンや先輩芸人達から応援される芸を磨き

舞台に立ったり番組を持ったりして有名になる

ことがお笑い芸人としての成功例である。

 

JICAで2年間活躍したということは、

よしもとのお笑い養成所を出たのと同等だ。

そこからどう展開・活躍するか、というのが

経済社会からの見られ方である。

 

養成所を出た時点で自分にはお笑いの経験値が

あるのだと実感するのは自由だが、安定した

仕事の確保と芸人活動をそこから続けるには

まだ十分とは言えないことは察知のとおりだ。

 

私は残念ながら養成所を出ていない感覚で

自分にJICA経験がないことを悔やんでいる。

 

養成所で同期だった芸人の横のつながりは

元隊員達にとって"派遣年次"としてステータス

になり、人とのつながりにも展開できる。

 

私にはそれがない。しかしなくても良いのだ。

最後まで世界で活躍し続ければ彼らに憂いたり

過去の億劫な考えを責めたりしなくていい。

 

JICA派遣経験者に羨ましがられるように。

これからも私は働きながら世界とつながりたい。