DAZAIFICの、ガツンとゆるい所感

機械工であり、二児の父であり、世界20カ国で遊んだり仕事した旅人がお送りする、仕事や生活での気づきや学び。毎朝7:30に更新していき、1000件を目標に記述を残します。

0108_ちょっと屁が出るくらい力め

私はこのブログで何を伝えたいかということを

毎日じっくり自分と向き合って考えている。

そうなるとやはり言語化されるのは自分の内面

であって、他から受けた言葉ではないのだ。

 

今回タイトルにしたのは、とある先輩の言葉だ。

Bさん現在40代中頃。今よりももっと

会社が小規模だった頃に期間工として入社し、

非正規社員としてしばらく働いたが、

あまりのものづくりのセンスの良さに会社が

正規雇用に変え、さらにその後は後輩の指導を

行いつつ、売上のかなりの部分を占める

検査装置の組立・調整を担っている

かなり技術力もセンスも高い先輩だ。

 

私が尊敬する技術者の五本の指に入る。

しかしこの方がめっぽう、冗談ばかり言う。

 

本当に真面目なことを言うと逆にそれが

笑いそうになって苦しくなるほどだ。

 

私は技術者としてはBさんにまだまだ及ばない

反面、誠実さ・改善意識・定量化やスピードに

関してかなりBさんから買われている。

 

恐縮ながら、"出来る人"から見た好きな若手だ。

同じチームで仕事がしたいと言われ続けている。

 

そのBさんに実力で近づきたいと思い、

仕事の都合をつけてもらい期間限定で

Bさんのチームの工程に入れて頂いた。

更に、Bさんと直接同じ組立の仕事がしたく

その工程の中でリクエストをし、3日間同じ

仕事をするチャンスを得たのである。

 

その中で、尊敬するBさんからはあまり

あれこれ教えてもらおうとせず、自分が

どうも迷ってしまったり自信がない微調整や

要点だけをBさんから教わろうとした。

 

しかし、これが全く思った通りにいかない。

Bさんは冗談ばかり言って懇切丁寧に教えて

くれないのである。これにも笑ってしまう。

 

私がかなり技術的に苦戦した局面になり、

1つの部品取付に15分かかってしまっていた。

 

余談だが、4つの部品を一つのピンで止め

ピンの両端をEリングで抜け止めする作業だ。

 

このEリング取付をするためのクリアランスは

9mmほどの幅、深さが30mmほどある隙間に

φ6mmの段付きピンなので、部品は小さく

工具が入るスペースが十分にないのだった。

 

それを相談したところ、Bさんは言った。

「グッと摘んで、パチンといくだけや」と。

 

経過は省略するが、別の腕利きの後輩に

一度やってみてくれと頼んでみたところ、

私よりも時間がかかりそうでお手上げだった。

 

簡単な部品設計の変更で次回からは苦労なく

できることに気づいたので、後輩が苦労する

横ですぐに改善提案を出し、未来は担保した。

 

しかしどうやってもEリングが入らない。

Eリングの取付だけに今まで順調だった作業が

30分も停滞し後輩の手も止めたので、もう一度

Bさんを呼んで、やって頂いたのだ。

 

「これの世界記録は11分40秒やったな確か」

と言う他愛のない冗談を言いながら、いざ

私のラジオペンチとEリングを受け取ると

本当に、グッと摘んでパチンとされた。

1分もしないうちに完了されたのである。

これには、圧巻だった。たしかにかなりの

握力が必要になるが、私が行った作業とは

ラジオペンチの角度が90度違うだけで、

あとは力技でグッといってしまったのである。

 

後輩と私は自分たちの無力さにガッカリだ。

というより、Bさんの判断とスピードは格が

違いすぎた。結局やり方を教わった結果私は

1分以内にできたが、後輩は握力が足らずに

出来ないでいた。力の差を感じるものだった。

 

やり方が分かってもうまくいかない後輩に

Bさんは行った。「簡単やけど握力が要る。

ちょっと屁が出てしまうくらい力め」と。

 

ものづくりの現場の楽しさはこんなところに

あると再認識したものだ。屁にせよ冗談にせよ

慎もうというのが社会のマナーかもしれないが

ものづくりの現場で求められることは

早くて正確な仕事であって、言葉遣いや

オフに何をして過ごすなどは全く関係がない。

 

技術力と一言で片付けられない、インドの

カースト制度のような、たくさんの知識や

センスから構築される階級が現場にはある。

強い物が難しい仕事をどんどん取れるのだ。

難しい仕事を次々に経験することでまた強く

なっていき、信頼や楽しさは増す一方だ。

 

何としても私も、苦労をしてでもこの好循環の

中に身を投じて、立派な日本人技術者として

世界で戦っていきたいと改めて感じた。

 

私はBさんに比べるとパチンコも釣りも屁も

キャバクラもラーメン屋通いもしない人種だが

真面目でも技術力が低い人間は役に立たない。

 

少々ワルい雰囲気をまとっていても、

製品や後工程、段取りに気配りが出来れば

ヒーローになれるのがものづくりの世界だ。

 

ちょっと屁が出るくらい力む。

理論と流儀の世界で生きるビジネスマンには

何のことやらという話だが、技を競う技術の

世界の人間には伝わるのではないだろうか。

 

いつか必ずBさんのような技術者になろう。