ガツンとゆるい所感

機械工であり、二児の父であり、世界20カ国で遊んだり仕事した旅人がお送りする、仕事や生活での気づきや学び。毎朝7:30に更新していき、1000件を目標に記述を残します。

0096_市場経済の真っ当な評価

今日は、専業主婦の妻の話。

 

きっかけが何だったのか定かではないが

妻がある時自分でお金を稼ぎたいと言い、

パソコンでできるアルバイトをしていた

時期があった。おそらく二人目の子どもを

産む前の妊婦期間で、長女が幼稚園に通い出し

少し一人の時間ができた頃だったと思われる。

 

従来通り家事全般は妻が行い、生まれてくる

子どものための準備や長女の衣服を作ったり

パンや菓子を焼いたりしてくれていた。

 

会社勤めを始めるには妊娠中で荷が重く、

何もしないのも退屈だったのだろう。

 

私は妻の頑張りを応援していた。

 

①タイピングの仕事

②子育てに関する記事の作成

妻が始めたのはこの二つの仕事だった。

 

タイピングの仕事に関しては課された企業情報

をインターネット検索して必要情報をエクセル

に入力し、会社のロゴの画像を保存し、

指定された宛先にまとめてメールで送る仕事。

 

もう一つの記事作成の仕事は、

仕事の発注主が持っているテーマの中から

自分が記事できる内容を選び、それについて

書いて提出するといった内容だった。

2000字ほどで一件だったと思われる。

 

いずれもパソコンとネットワーク環境があれば

家で好きな時間にできる仕事で、妻は隙間時間

で何かできることに最初から喜んでいた。

エクセルの使い方は私と一緒に学習し、

単調な作業だが少しずつ習熟していった。

 

私は応援していたが、報酬を聞いて驚いた。

なんと、記事作成に関しては一件800円。

タイピングの仕事は一件100円という。

更に、その報酬から手数料が引かれるので

報酬はそれらの90パーセントになるらしい。

 

時間を使っている割に報酬が安すぎないか?

と頑張って楽しそうにやっている妻を

見ながら、多少怪訝がっていたのだった。

 

一万円近く稼ぐのにかなりの時間と労力を

費やした様子で、それに似合った対価を

得ているのかは最後まで心配していた。

 

妻は、そつがなくきちんとしているので、

おそらく1件100円の報酬をもらうのには

相応しくないのではないか?と感じていた。

 

きちんとしている、という言葉に相対感を

出すために何か例を挙げるとすれば、

一度、業務上必要ではないが何となく

(力試しに)宅建を受けたことがあった。

 

私がオススメの参考書を教えたところ、

それで40点以上取って一発合格をした。

6月ごろに教えた記憶だがその秋の試験に

合格したのだ。驚きと尊敬の出来事だった。

 

要するに、文章理解に対する素地がある。

子どもの頃から読書好きだったという。

ラインをしていても誤字脱字がほぼない。

 

話は戻って、本日妻からの知らせで、

"そういえば久々にフリーメールを開いたら

タイピングの所から業務依頼の連絡が来た"と。

 

どうやら1件100円の仕事の評価が高く、

時給1000円で別の仕事をしないかという

オファーだったようだ。1件に30分ほど

かけてこなしていたことを回想すると、

時給が5倍のオファーである計算になる。

 

なるほど、30分頑張って100円の仕事でも

世の中きちんと評価して次の仕事を与える

そんな仕組みがあるのだなと知ったものだ。

 

妻が私と決定的に違うなと尊敬するのは、

怪しんだり飽きて他のことを考えたりする

いわゆる"気が散った状態"が極めて少ない

マインドセットの持ち主である。

 

おそらく、その仕事を承諾して始めたら、

きっと次の高評価につなげていくのだろう。

 

その原点には1件100円の仕事に不満を言わず

喜んでやれる、楽しむ感覚と、時給換算で

いくらになろうが決められたことは真っ当に

完遂させてみせるという気概があるのだろう。

 

それに何より、お金を稼がなくては苦しい

という負の動機付けではなく、余った時間で

何かしてお金を稼ぐという動機が前向きだ。

 

私は時給換算にしたり、先読みして今やって

いることが未来にどれくらい利になるかなど

妙に数字に囚われている性分があると気づく。

 

それも大事だが、仕事とは内容や量に様々な

バリエーションはあるにせよ、一括りにすれば

"しなければならないこと"であり、

"することで誰かを楽にすること"である。

それを取っていくことは、横展開すると

事業モデルや価値を創っていく思考へと

変わっていくはずだ。改めて見習いたい。

 

妻の愚直さと誠実さに学んで、自分のすべき

ことを真っ当に進めていけたら高評価が。

どこかで陳腐化したり誠実さに欠けたら

それを差し引いた評価を得ることを念頭に、

 

背筋を正して、今日も一日真っ当でいよう。