ガツンとゆるい所感

機械工であり、二児の父であり、世界20カ国で遊んだり仕事した旅人がお送りする、仕事や生活での気づきや学び。毎朝7:30に更新していき、1000件を目標に記述を残します。

0166_送別会はタイ料理

何の教訓もない話だが、マレーシアの

どことないユルさを記録する。

 

私がマレーシアに赴任し、約2ヶ月間。

それまで3年間赴任していた先輩がいよいよ

帰任することになったので、送別会が行われた。

 

私のマレーシアでの勤め先のは

日本本社から見て現地子会社で、

先輩の帰任後は日本人は私と私の上司のみ。

社長、総務、製造など30名のローカルスタッフで

構成されている、マレーシア企業である。

 

マレー人が6割、中華系が3割、インド系が1割

といった風に、マレーシアの国と同じような

人種の分布である。大半がマレー人、つまり

ムスリム(イスラム教徒)だ。彼らは5月になると

ラマダンと呼ばれる断食期間に入る。

 

話はそれるが、断食の概要を補足しよう。

朝の5時半ごろから、夜は19時半まで

飲食を控えるというのが原則的なルールだ。

 

つまり、仕事中に飲み食い出来ないということ。

逆にマレーシアの企業では間食を与えることを

義務付けられている業種もあり(製造業がそう)

ラマダン期間以外は休憩時間になるとスナックを

好きに食べているのが通例だ。

 

さて、送別会の話に戻そう。

私の先輩は、マレーシアの工場で働きながらも

技術職の出張でタイへ30回以上、多い月は

月の半分以上をタイで過ごされた方だ。

無論、自分で行きたいから行くのではない。

 

好みは様々だと思うが、私はタイよりも

マレーシアのほうが食文化が好みに合っている。

先輩も同じことを考えておられる。

 

マレーシアでは中華やインド、タイ料理など

また日本食や韓国料理も含めてとにかく選べる。

なので食に飽きが来ても食を選べるのだ。

 

ところがタイはタイ料理一辺倒で、

毎食タイ料理しかないのが(田舎へ行きがちな)

私達のタイ出張のしんどいところである。

 

起きた出来事に対して全く不平不満を言わず

言わないだけでなく感じることも少ないのが

私の先輩の人として素晴らしいところである。

しかし先輩は、とっくにタイ料理に飽きているのだ。

 

ラマダン中であらゆるレストランが

予約しづらい時期にあるので致し方ないが。

 

もうしばらくタイはいいです。と

笑顔で言っていた先輩に対して、まるで

あてつけのようなお店のチョイスだった。

 

しかし、川魚にせよトムヤムクンにせよ味もよく、

茅葺き屋根のような作りのレストランで

ビールもたくさん飲めて、賑やかな送別会だった。

 

印象的だったのは、19:00の開始と聞いていて

ほとんどのメンバーはそろっていたが、

数名遅れてきたことと、さらにお店側が

19:00から揚げ物、ご飯、グリーンカレー

魚料理、トムヤムクン、卵料理、蟹料理など

運んでくるまでに時間を要したので、

ちょうど1日のラマダンが明ける19:20に

さぁ食べ始めよう!となった。

 

19:18頃からあと2分、あと2分、と

私は時計が時間を刻むのを心待ちにしていて

19:20になった瞬間にみんなむさぼるような

食べるのかなと思いきや、みんな食べない。

私の時計は狂いなく19:21を示していた。

 

もう食べていいんじゃ…と言おうとしたところ

店のスタッフの方がベルを店の中央で鳴らし

それを合図にムスリムたちは食べ始めた。

 

中には腹が減ったのか、何も考えてないのか、

白米をフォークでつんつんつついている女性の

ムスリムなんかもいて、「食べちゃダメだけど

更によそったり米をつついたりはいいんだ」

という新しい気づきも得られた。

 

最後には恒例の写真撮影の時間があり

みんなその先輩とイケてる写真を撮ろうと

列になって並んだり、また集合写真は

特に誰が号令をかけるでもなくわらわらと

30人くらいがみんな先輩の周りに集まって、

誰かの古いデジカメで撮影するも、

フラッシュがうまく動作せず10回くらい

フラッシュなしで撮影され、結局撮れないなど

日本での送別会とは違ったリラックスした

雰囲気での時間だった。若いスタッフが多く、

ムスリム以外のメンバーは酒を飲んでそのまま

新しく買ったバイクや改造した車のアクセルを

思いっきりふかして帰っていった。

 

本当にこの国はみんながリラックスしている。

緊張感はあるのだが、みんなリラックスする

気持ちを崩さずにいられるのだ。

 

日本に帰る先輩に変わって来月からは私が

難しい機械の組立や調整作業を担うことになる。

帰任の際はこの日のように、みんなに明るく

送り出してもらえるよう、信頼関係を作っていきたい。