ガツンとゆるい所感

機械工であり、二児の父であり、世界20カ国で遊んだり仕事した旅人がお送りする、仕事や生活での気づきや学び。毎朝7:30に更新していき、1000件を目標に記述を残します。

0031_100円のハサミと1000円のハサミ

1000円のハサミを買ったことがあるだろうか

私は、ない。ないので根も葉もない話だが

物にこだわりを持つ者として、述べてみたい。

 

職場をイメージして頂きたい。

100円のハサミは誰でも持っているが、

意外とハサミを持ち合わせていない時、

100円のハサミでも借りられると有難い。

それが仮に1000円のハサミならどうか。

 

私はハサミがなくて、人から借りた時、

それが見るからに100円ではなく、

高価なハサミであるものを、快く貸して

もらえた場合、この人は懐が広いなと感じる。

 

これは高価だから、刃こぼれに気をつけて

欲しい、なんて言われたら借りておいて

申し訳ないがガッカリするだろう。

 

私は見栄っ張りなわけではないが、

快く貸すことをどんな時も実行している。

製造現場で働いているので、仕事で使う

キーレンチやスパナ、ドライバーなど

大小あらゆる工具を持ち合わせており、

50種類くらいは移動式工具ステーションに

入っている。新幹線の車内販売をされる方が

押しているカートより少し幅の広いものだ。

 

技術者の仕事は、最初は工具箱から始まる。

見習いのうちは先輩技術者の仕事につき、

短期間であれやこれやと移動することも多く

「工具箱を持って走り回る」というと

製造の職歴の浅い技術者かな、という認識だ。

 

私は役職や社歴を考慮され、2年前の30歳の頃

憧れのステーションを使わせてもらえることに

なった。そのステーションは海外へ旅立った

先輩のもので、喜びもひとしおだった。

 

以来私のステーションには可能な限り

無駄がないように整理・厳選された、

工具が詰まっている。ハサミは100均だ。

100均で良い道具とこだわって買うべき道具

は改めて整理して記事にしたいと思う。

 

今回のテーマのハサミについて、

私は貸して欲しいと言われて、貸して嬉しい

品質のハサミではない。現在のものも

前に持っていたものも100均の商品だが、

持ち味や切れ味は前回の方が良かった。

お恥ずかしい話、無くしてしまったのである。

 

良いものを買ってもなくすことはある。

しかし、ビニール傘のように消耗品だと

最初から決めて購入した使い方と、ビニール傘

でも10年は大切に使おうと決めて使うのとでは

かなり差が現れる。大切なのは、購入時に

使い勝手が良くなくてもこれは愛着が湧く。

と道具を褒めることである。

 

ダメだこりゃ、と言いたくなる安価な

製品と出会った場合は、自分の選び方を

きちんと反省する意味で、壊れるまで使う。

またはそれが必要で困った人に差し上げる。

 

私は今のハサミは機能的に失敗したなと

選んだ自分を反省しつつ、何が使いにくさの

原因かを理解するまでは使おうと決めている。

理解したらハサミを二回借りにきた後輩に

「それ、やるよ。」以上である。

 

1000円のハサミを喜んで買うとしたら、

それが売っている店と出会う機会がいるし

その用途や仕様も吟味しなければ満足

できない。たかがハサミ、されどハサミだ。

 

行き詰まった時、人は精神論に答えを

見出そうとする傾向にあるが、私たち技術者は

機能的にどうかをいつも考える傾向がある。

機能的正解のあとに精神的アプローチをする。

 

本当によく使う、箸やボールペンなど

1000円以内で手に入るものには一度

機能的な究極の満足を求めてみてほしい。

その先にあるのは、精神論もしかりだが

自分の手に馴染む、適所に収まる、

長持ちする、再度調達できるなど

あらゆる角度での機能的満足があるはずだ。

 

絶対的な機能は安定して自分を支え続ける。

当たり前でありなかなか決定打が難しい、

モノ選びでのテーマです。いかがでしょうか。

市場になければ、作るのがいいでしょう。