0273_タイで感じる甘えと自由
タイには月に一度のペースで来る。
私は技術職で、各地の客先へ修理や納品に
行く出張しかないので、自分で行き先を
決めることはない。そして現地タイの代理店の
方がホテルや食事の世話をしてくれるので
様々な地方都市へ意図せず旅行できている。
そんなタイへ来るといつも驚かされるが、
自分が住んでいるマレーシアと比べると、
自由の違いについて感じることが多い。
例えば、
以下の二点について例を挙げて考察する。
・お酒の販売
14:00まではコンビニでお酒を買えない。
夜に買ったものを朝に飲むのは自由だろうが
おそらく運転中に我慢できずに飲んでしまう
ことを防ぐ意図があるのだろう。
そんなことする奴いないだろうと考えるのは
あくまで日本人やマレーシア人は自律心が強く
人の迷惑にならないでおこうというバイアスが
強いからだ。わざわざルールにしなくてもいい。
しかし、いつか飲酒運転の過度に危険な事故が
あったり、アルコール中毒者が朝からコンビニで
酒を買うことなどが見られるようになれば
日本も変わっていくことだろう。
甘えた人間は減るより増える方が簡単だ。
・領収書
領収書のフォーマットが決まっていて、
日本のようにレシートに領収書がついてくる
ような便利な仕組みが少ない。
確定申告などの税金対策でもし
レシートを使えるようにすれば、タイ人は
たちまち全部のレシートを経費で落とそうと
するだろうから、厳しくしているのだろう、と
タイ人の代理店(この方はエリートで社長)は
おっしゃっていた。
領収書を頂かなくてはならないのは
日本でも同じだよと伝えたが、どうやら違う。
タイで領収書を頂くためには、会社コードや
会社名の記載のある名刺を渡した上で、
領収書発行側もわざわざ一つひとつ手書きで
用意する必要があって、給油ひとつにしても
非常に無駄な時間を要しているようだ。
ガソリン入れる、お金支払う、
領収書とお釣りを持ってくるまで待つ、
といった具合だ。気持ち的に時間に余裕の
あるタイ人ならではの贅沢な時間の使い方。
上記の例以外にもタイに住めば色々と
気づきがあるだろうが、今のところ私が
思いつくのはそれくらいのものだ。
甘える者が増えると、制限も増える。
皆が自制心を持っていればルールは増えない。
工場で仕事をしているとよく感じることだ。
一人のどうしようもない人間のせいで、
確認の仕事が膨大に増えたりするように。
国や地域が決めたこと、先人が長きにわたって
築き上げてこられた文化には従うことが
絶対だとは思う。それに変わりはない。
その上で私が感じるのは、私たちエンジニアは
起きた問題の対応を経験し続けるより
問題が起きないように気を利かせる努力を
積み重ねる方がより良い職業観につながる。
火消しに躍起になるのは違って
防火に時間と労力を投入するのだ。
しかし火消しになった時に尻込むことがない
胆力を身につけるのは、火消しの経験を積む他ない。
漠然としていてもいい、先を見据えた上で
目の前のことに一生懸命にやろう。