0196_降水確率100%のマレーシア
マレーシアに赴任し間もなく3ヶ月が経つ。
前任の先輩から引き継いだ、大きなプロジェクト、
自社製品である産業機械の、製作・調整後に
現地での据付作業を(この記事を書いている
一週間後の)2019年7月に控えている状況だ。
据付作業はとにかく仕事量が多く、40フィート
コンテナ5台分の機械の出荷を1日で行い
据付現場では荷降ろしを1日で行う。
全て並べると50mプールが機械で埋まる量だ。
流れとしては、お客さんが現在使っている
既設の機械が別業者によって1日で撤去された後
私たちが1日で機械設置、電気工事、テスト運転
その翌日には実際に稼働してお客さんにとって
利益を生み出す生産(稼働)が始まる。
売ったら使ってもらって終わりの家具や
家電と違い産業機械はお客さんがそれで
雇用やビジネスを作っていくのが面白い。
さて、何事もうまくさえ行けば楽しく幸せなのだが
この納品作業には毎回トラブルがつきまとう。
なにせたくさんの物量を運んで据えるので
何かが搬送中にダメージをうけたり、大げさな話、
トラックの揺れでネジが緩んで落ちるなどで
その仕事が完璧ではなくなることがあるのだ。
今回は、雨に泣かされた。
実際は泣いていないが、泣いて雨がやむなら
喜んで泣かせて頂くほど、大雨にうなだれた。
というのも、40ftコンテナから、クレートという
3mX4mほどの木枠に固定された重さ1トン
以上の機械を何度もコンテナから降ろす
作業が、基本的に外で行われるためである。
ホテルから客先へ向かうまでに1時間以上
車で走ったが、途中大雨が原因の玉突き事故
を見たり川が氾濫しそうになっていたり。
日本でいう台風被害のような朝だった。
しかし、マレーシア人の仲間たちは特に
臆することもこともなく、"仕方ないね"
"濡れるかなぁ"くらいのものだった。
もともとマレーシア人は日本人と違って、
世間話や誰の責任も問わないテーマは
際限なく会話できるが、逆に不確実性の
回避のための議論を極端に避けようとする。
私が勤務する現地子会社でも社長をはじめ
何か起きたら良きに計らえというのが
基本的なスタンスに思える。
同じ会社で同じ製品を作る日本の本社では
世間話はほどほどで、不確実性回避や
先に起こる出来事の予見に多くの議論の時間を
費やされることからこのギャップは大きい。
日本にも社風や地域柄ゆるい集団も
一定数あるかもしれないが、敗戦を経験し
経済で復興を遂げた誇らしい日本人像としては
やはり寡黙でそつがないのが標準だろう。
特に私は何か起きてから考えるよりは
(とりわけ期日が厳しく複数人で行う仕事は)
何が起きそうか考え徹底的に備えてから臨む
タイプなので、時折マレー人と話が合わない。
"XXXが起きた時を想定してYYYをしておきたい"
なることを言えば、"今までXXXは時々しか
発生してない。なぜ今回起きると分かるのか"
というような話になってしまう。
日本なら"確かに、ありがとう気づいてくれて"
という賞賛の言葉が出るようなことにでも、だ。
ともあれ、起こることに一通り想定しておきたい
私にとって、大雨が来たらどれほど段取りが
狂うかということは完全に思考から抜けていた。
天候のことは考えても仕方がないが、次回以降
周りに相談するのは不要としても念のため想定
しておこうという学びになった。
マレーシアは、降水確率が毎日100%なのだ。
大雨にうなだれて、博識な同僚たちに尋ね
今の雨がいつ止むか調べられそうかと言うと
みなwhether newsとグーグル検索し
"ずっと雨だね"と週間予報を見せてくれてた。
確かに全く雨が降らない日はなかなかない。
結果、作業場に大きな屋根があり助かった。
仕事そのものに大きな影響は出ずに済んだ。
また雨は昼前には止んで朝の豪雨が何事も
なかったかのような晴れ空に変わった。
考え方によっては雨がどうとか憂慮する
時間はもったいないのかもしれない。
次回以降外作業の現場に屋根があるかの
確認をすることにして心配を減らそう。
私は日本なら「アメミル」を使っている。
文字情報の天気予報よりも、雨雲の動きや
全国の現在の降水量を地図上で見られるものだ。
天候の切り替わりが激しく人々の不確実性回避
度合いが低いマレーシア。この状況ではとっさの
出来事に臆せず素早く対応する柔軟性が
日本にいるよりも強まりそうである。
いずれにせよ、雨が降ったらどうしますか?
という問答は、レジャーや楽しい計画になかば
水を差すような話だが、仕事では気にかけて
おくべき事柄だ、とくにマレーシアにおいて。