0175_新世界に帰国し極楽へ②
マレーシア駐在生活2ヶ月が経過。
愛する家族との時間を持つために
ハリラヤ休暇を利用し日本へ一時帰国。
航空便の到着遅れで、自宅のある京都まで
終電で行けない可能性に気がつきながらも
南海電車で揺られたところから前回の続き。
これも悲観的になる要素ではないが、
私は日本の携帯の契約を解約したので
日本に帰ってきた時は外国人のようになり
使えない。スマホがなかった時代に青春を
謳歌した昭和生まれだが、やはり便利で
依存するものが使えなくなると不便だ。
路線情報の収集や家族への連絡ができない
ことに対して多少たじろぐも移動を続ける。
ここで大阪王将をどうしても食べたいという
かねてからの願望とどう対峙するかである。
しかし1分も無駄にできず素早く諦める。
天下茶屋から地下鉄(阪急)に乗ると、
こちらも電車に遅れが出ていますと
アナウンスがあり、時すでに23:45。
私は京阪電車で帰宅するのが希望だったので
京阪電車に乗り帰る頃には24時を回ること、
そして京阪電車に乗り換える北浜駅では
朝まで過ごせる極楽スポットはないだろう
浅い経験値からの思い込みが手伝うも、
スマホも土地勘もないので決定打に欠ける。
どうしようもなくなったらどこかの駅の前の
ベンチで座って朝まで過ごせると思うが
妻が帰宅しない私のことを心配することは
放ってはおけないので、Wi-Fiを優先に。
地下鉄がちょうど恵美須町の手前に差し掛かった
時に、「新世界」という文字が目に飛び込む。
これだ!と何の根拠もなく私は恵美須町で
思い切って降りた。この時点でWi-Fiも
横になって寝られる場所も何も目処はない。
頭の中で考えていたのは、吉野家を食べたい
ということと、Wi-Fiがあるところで
妻に帰宅が明日になる旨連絡したいこと、
可能なら横になって朝まで寝たいこと。
新世界に行けばカプセルホテルか何か
格安で朝まで過ごせる気がしたのだ。
大阪の人は新世界のことを嘲笑するけど、
縁遠い京都人の私にとっては何となく
人の温かみを感じられるような下町だ。
駅を降りて運良く吉野家に行けて、
牛丼並盛に生卵を混ぜて口にして思わず
うまい!と言って満足に完食した後は
一つの分かりやすい目印となるだろう。
通天閣本通の商店街には飼い猫の名を
呼びながら探すエプロン姿の女性や、
警察に説教を受けているのか、下を向き
原付の横に立った若者、ホームレス数名など
夜中なのに情緒ある新世界模様を堪能した。
時すでに24:30。一通りぶらついて思う。
まずい、魅力的な寝場所もWi-Fiもない、と。
遠くを見て黄昏れた瞬間遠くに見えたのは
スパワールドだった。極楽スポットじゃないか。
子供の頃から関西に住んでいたので
スパワールドの存在はよく知っていたが
わざわざ来たことはなかったので来場。
1200円の入場料と、1300円の深夜料金と
150円の入湯税?だったかな。とにかく
3000円未満で夜も朝も風呂に入れ、
暗くしてゴザ(のようなクッションマット)を
敷いてくれているところもあり、
私はそこで朝まで丸太のように寝た。
旅行を良くする人に分かってもらえるかも
しれないが、旅行に旅行が重なって
そこそこ疲れが溜まった時に、何も考えず
爆睡できた明けの朝は、起きた瞬間に
自分がどこまで進んだのか思考停止する。
スパワールドの朝はそんな感じだった。
そこから風呂に浸かり、牛乳を飲み、
LINEで今から帰るからと家族に伝え、
地下鉄と京阪電車にて通勤や通学をする
日本人の中を口笛を吹きながら歩いた。
新世界の朝はとくに驚くことはなかったが、
通天閣本通りにある、レトロゲーセンザリガニ
という店は一度取材に訪れてみたい。
ともあれ、みんなが日常を送る中を
朝から風呂に浸かり、気ままに電車に乗り、
天気のいい朝に清々しく家族の元へ
帰宅するのは本当に気持ちが良かった。
今度からいつもこのパターンでも良い。
何かトラブルがあるとありがたいのは
その最中かなりクリエイティブになれること。
そしてその知恵をひねり出して(時には無駄に
身銭をきることで)レジリエンスと経験を
自分のものにできることだ。
他人に迷惑をかけるトラブルは必ず
避けないと他人に悪いので人とのトラブルは
必ずないよう配慮をした上で、自分の身に
起こるトラブルは楽しんで吸収していけるよう
これからもエンジニア・旅人生活を
実り多きものにしていきたい。