ガツンとゆるい所感

機械工であり、二児の父であり、世界20カ国で遊んだり仕事した旅人がお送りする、仕事や生活での気づきや学び。毎朝7:30に更新していき、1000件を目標に記述を残します。

0033_マレーシア人と京都の秋

この記事は過去の記事、出会いから繋がりに

の続きなので良ければご参照下さい。

 

http://dazaific.hatenablog.com/entry/keeponmeetingupwithfriends

 

遠方より友来たる。という話で、

マレーシア人家族と京都嵐山を散策した

エピソードを今回はお伝えいたします。

 

夫婦と3歳の長女と0歳の長男がいる我が家と

1980年代前半生まれの夫婦と8歳の娘が

いるマレーシア人家族、計7人での旅行。

 

JR嵯峨嵐山駅で集合し、20分ほど歩き

レストラン良弥へ。ここはハラル食事や

お祈り部屋があり、ムスリム(イスラム教徒)

とともに食事するのはうってつけ。

渡月橋からも歩いて3分ほどで、嵐山を満喫

するのにかなり良いお店だ。感謝したい。

食事は湯豆腐、天ぷら、カレーなど。

再会を喜びつつ、楽しく食事できた。

 

嵐山にはロマンチック列車、と呼ばれる

秋の嵐山を堪能するのに良い電車があり

これは彼らからのリクエストであった。

 

紅葉シーズンのチケットは当日入手不可能

であることも多いので、あらかじめネットで

予約し、JRの駅で発券していたため、

あわてずとも列車に乗れるプランである。

 

昼食後は、歩いてJR嵯峨嵐山に戻り

JR馬堀まで移動し、そこからロマンチック列車

の駅まで移動する必要があった。もちろん、

スケジューリングは私の仕事である。

 

12:45のJRに乗ればいいか。と食事をしつつ

考えていたのでお祈りをするなら今が良い。

とお伝えし、お気遣いをありがとうという

嬉しい言葉とともに、夫婦それぞれがお祈りに

時間を充てるはこびとなった。

 

早い話が、このお祈りが今回最も

勉強になった点です。運悪く、お祈りに

列ができていたようで、待てどくらせど

なかなかお祈りから帰ってこない奥さん。

 

5分か10分で戻ると言っていたのに…

15分ほど経ってもまだ戻らず時計は

12:40を過ぎ…最初に乗ろうとした電車は

12:45。食事処から駅までは行きは20分。

子どもがいるのでどんなに急ぎ足でも

15分はかかるという見込み。慌てて

電車の時刻表を確認すると12:58に乗れば

なんとか予約したロマンチック列車に

乗れることがわかり、気を取り戻し待つ。

しかしさらに5分経ち、12:45に。

ここで旦那さんのババさんに仕方なく

事情を再度説明する。もう間に合わない、と。

 

12:47、ここでようやく奥さん登場。

もうこうなると、ここで自分が虎のように

みんなを鼓舞し、率いよう!と私は娘を

抱き抱え、おもむろに超早足で出発する。

 

妻は赤ちゃんを抱き、マレーシア人一家は

半分訳も分からぬまま人混みの中を早足。

早足というか、ぶつかりながらの競歩だ。

時間に追われる日本人を体験できる早歩き。

 

半分歩いた時点で12:51。電車まであと7分。

JRの駅まで徒歩10分という看板が見えた。

もう何のための全力歩きなのか誰も分からず

奥さんは祈り開けの全力競歩で、半ば

呆れた様子で一番後ろを歩いてくれている。

 

ようやく駅舎が見えた時、12:56。あと2分。

途中私が抱いたままの3歳の娘が後ろを

見ながら爆笑している。何がおかしいのか

と尋ねると、後ろからババとその娘が

おどけて笑わせてくれている様子。

この状況なのに、虎のような顔をして競歩

する私たち夫婦とは違う。さすがである。

 

残り2分で妻に千円札を渡し、200円を5枚!

頼む、と。妻に切符を買ってもらい私が誘導

して何とか電車に飛びのろうという作戦。

赤ちゃんを抱いたまま全力でエスカレーターを

駆け上がる妻を見て、感慨に耽りたいところ

だが駅舎に入った時点で時計の針は12:57と

20秒が過ぎていた。もはやこれまでか…

妻が買ってくれたチケットを受け取った時

12:58を過ぎていた。ホームには電車がない。

 

私は次の電車では予約した列車には

間に合わないことを知っていたので、

もはやどうすることもできないと思いつつ

電光掲示板を見た。すると電車が4分遅れの

表示。まさかの出来事にOh my god!と。

What?!と汗だくで聞いてきたババに

Train has not come yet. 4 minutes delay.と

伝えると彼は胸に手を当て、God...と一言。

 

その直後来た電車に乗り、無事にロマンチック

列車にも乗ることができた。全力で歩いて

電車に乗ることができ、妙なチームワークが

芽生えたことや、逼迫した状況でも

自分を笑わせてくれていたババに、

娘はかなり気を許し、そのあとは列車も

観光の歩く時間も、ババと娘にべったり。

言葉も通じないのに大したもんだと感心した。

 

電車遅れと、もう1つハプニングがあった。

列車からの景気は最高で、トロッコ嵐山

直前の、最も見晴らしの良いところで、

列車は急停車。5分ほどそこで停まっていた。

 

こんなにもサービスいいとはね。とこれも

妻と二人で感心していると、どうやら線路に

人が侵入していたらしく、普段はないらしい

特別な停車だったよう。ババファミリーも

さぞかし景色を堪能できたことだろう。

 

その後もお茶したり買い物したりで

夕飯前には別れて車で帰宅したが、

妻と寝る前に話していたのは、祈る文化は

とても尊く、見習いたいものだ、ということ。

 

私は現実主義なので、あのお祈りが

なかったら全力競歩もなかったよ。と

つい言ってしまったのであるが、それでも

最高の天気や最高の出会い、意図せず

訪れた寺院の紅葉がまさに見頃で閑散と

していたことなどは、彼らの祈りのおかげ

ではないかと考えてしまうほどであった。

 

無宗教の我々日本人からすると、

イスラム教徒との旅は何かと気をもむものだ。

しかし彼らは平和に考え、いつも心穏やかだ。

同じ宗教をする必要はないが、彼らの

考えや行動の良さは学んでいこうと感じた。

 

こちらが全力おもてなし精神で迎え入れた

ことは、お互いの幸せのためになったこと

だろうと思うし、2日目の日曜にもまた

2家族で観光をすることになったことは、

予定調和からは生まれない素晴らしい出来事

である。とにかく感謝、感謝である。