ガツンとゆるい所感

機械工であり、二児の父であり、世界20カ国で遊んだり仕事した旅人がお送りする、仕事や生活での気づきや学び。毎朝7:30に更新していき、1000件を目標に記述を残します。

0249_製造現場の基本中の基本

仕事で基本となる報告・連絡・相談。

 

私がものづくりの仕事をしていて最も切に

感じる、基本的で徹底してほしいことは報告だ。

だが何も一から十まで報告をする必要はない。

 

ただ、仕事そのものが自分の裁量で進められる

ようになるまでに最も必要なことは、

仕事の依頼と、仕事が出来た報告の、

言葉の応酬だ。これが一つでも食い違うと

信頼関係が崩れてしまう。

 

ものづくりの現場で例をあげよう。

基本的な技術が身につくまでの間は、

新米技術者は難しい調整や、失敗すると

危険が及ぶ機械操作は任せてもらえない。

切削工具や、クレーン、フォークなどだ。

 

代わりに簡単な組立や部品の開梱など

アルバイトでもできるような仕事から始めるのだ。

 

大切なのは、この時の言葉のキャッチボールだ。

 

気を利かせたり関心のあることを質問したり

するのは成長のためや動機付けによいが

仕事を頼んだ側が求めているのは、まず

目の前の仕事が滞りなく進むことである。

 

サービス業や営業などの会話に重きを置く

職種なら初めからコミュニケーションを

どんどんとっていくことは有効だが、

ものづくりの現場では私語は求められない。

 

最も悲惨な状態は下記の通りだ。

 

・壮大なスケールで作業に関係ない質問をする

・仕事(作業)ができた報告がない

・分からなくて迷ったら思い込みに頼る

・分からないことで無駄に自分を責める

・失敗したら言い訳を考える

・我流でやって時間がかかりすぎ、結果できない

・次に何をすればいいかしきりに聞くが

 現行の仕事がいつ終わるか尋ねると分からない

・トイレに行ったら、無性に長い

 

何を隠そう、これらは私が自分の若い頃を

振り返って、それがダメだったなと自信を持って

反省できる内容だからだ。

 

そして最も大切なのは、作業が完了した報告だ。

 

仕事が完全に一人でできるようになるまでは

仕事を頼む側は難易度や所要時間、自分が

教えるために割く時間や作業順序など

たくさんのことを考えながら仕事をしている。

 

従って、最も不気味に感じるのは

仕事を頼んだあと、それがどのように進んで

いるか分からないという状態なのである。

 

失敗したら自分や周りに迷惑がかかること、

分かったのか分かってないのか分からないこと、

「こいつ大丈夫か?」と思われるなどは、

頼んだ側にも頼まれた側にも損な時間となる。

 

逆に優位なのは、頼まれた作業を黙々とやり、分からないところは分かるまで聞き、

失敗を正しく恐れた上でできたらすぐに

できたと報告する姿勢だ。

 

電気つけといてとかカーテン閉めてとか

そのレベルでも職人と徒弟の世界観では

電気つけました、カーテン閉めました。

という口頭での報告は仕事のリズムになる。

 

私の記録していることはあくまで私が勤めて

いる古風な製造現場でのことだが

おそらく芸能や軍隊や料理人の世界などでも

古いしきたりの残る世界では通じるだろう。

 

これが美しいと気づくのは、指導的な立場に

なってからだ。若いうちはどうもそれが

面倒で古臭いものだと忌み嫌ってしまう。

 

しかし、これらの基本は大切だ。

最初はうまく言葉を選べないかもしれないが

それは訓練の先にきっとよくなる。

 

時代が変わっても、頼まれたことをすぐやる、

できたことを報告する、失敗したら徹底的に

反省する。これからも大切にしたい考えだ。